亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
ケインツェルの独り言が聞こえたらしい兵士は、抱えた本の塔の向こうから顔を覗かせた。
そんな兵士に見向きもせず、ケインツェルは軽い足取りで階段を昇りはじめる。
「いえ、独り言です。…ああ、そうそう。牢獄に閉じ込めたままのあの白骨ですが、存在価値も無くなったので、もうその辺に捨ててしまいなさい。用無しです」
奥深い雪国の果て。
そこで“真実”が告げられたのは、さかのぽること数時間前。
夜の闇が一層濃く、より一層凍てついた頃だった。
とにかく、何もかも考えられないほど、寒かった。
寒かった。