亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「大きくなれば分かるんじゃないですか?貴方もいづれ、体験する日がやってきますよ。多分」
「………そうなの?……多分?」
長い長い緑の髪を引きずった長身と、少し駆け足で子犬の様について行く小さなシルエット。
何処もかしこも似ていない、相反する二つの影は……奇妙に空気の歪む廊下の真ん中を、いつの間にか並んで歩んでいく。
歩く速さも歩幅も違うけれど。
横に並ぶ、異なる存在。
廊下の天井や床に漂う暗がりは、過る二人を飲み込み、すぐに手放していく。
足音しか響いていなかった虚空には、途切れ途切れたが……二つの言の葉が、止むことなく続いた。
「………そういえばノアって…男の人なの?それとも女の人…?」
「私は他の魔の者と違って少し特殊でしてね。性別なんてものは無いのです。残念ながら、この身体には男女どちらの生殖器もついておりません。…なんなら見せてさしあげましょうか?私をありとあらゆる角度からその目で堪能して頂いても結構ですよ」
「…………それは…別にいい」