ツインの絆

「ああ、中学生だったからな。まあ、悪い事を一通りやったらしい。
中学の終りに補導され、岡崎の中学生と分り大騒ぎになったらしい。

水島さんが警察へ行っても、
こんな奴は親でもなければ子でも無い、放っておけ、
などと啖呵を切り、
少年課の警察官や保護司の印象を悪くし、一ヶ月ほどは少年院へ入った。

一か月と言う短期で済んだのは、水島さんがあちこちに奔走しての結果らしいが… 
しかし、あいつは反省する事無く、
水島さんがやっとの思いで取り付けた高校入学も蹴り、

家には戻らず… 親父狩りと言うのか、
繁華街で酒を飲んで、よい気分になっている人達にわざとぶつかり、
因縁をつけて脅し、金を巻き上げる事をしていた。」


「そんな… 恐喝だから警察に見つかれば、今度こそ刑務所でしょ。」



暴走族で暴れ回っていたと言う事は有名だが、
そんなに詳しくは知らなかった広志が一番に反応した。


勿論一緒に聞いている大輔、孝輔も同じ思いだったが… 



「父さん、あきらさんはそんな事まで父さんに話したの。」



大輔が、あきらが仕事先のかしらに、
そんな事まで暴露したとは信じられないような顔をしている。


なるべくなら隠しておきたい話だ。


すると父は、時々和也が見せる茶目っ気な目をして、
笑みを浮かべながら一同を見回している。


笑うのを堪えている素振りだ。




「実はな、あいつ、俺が山ちゃんといる時にぶつかって来た。

俺もちょうど生まれたばかりの和也を豊田へ連れて行かれ、
挙句に離婚を言い渡された時だったから落ち込んで、
山ちゃんを誘って毎晩のように飲み回っていた時期だった。

まあ、その話はいづれすることにして… 
あきらの奴、俺にぶつかり怒鳴って来た。」



と話して、孝太は出掛かっている笑いを飲み込むように、またお茶をすすった。


周りでは、三人の若者が固唾を呑んで、話の続きを待っている。

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