ツインの絆

「孝輔、決めたのか。」



その話を聞いた大輔は、孝輔を見て確認するような言葉を出した。

孝輔の口からはっきりと聞きたい、とその顔は言っている。



「うん、緑ヶ丘にした。バイオリンの専門クラスは無いけど
近いから自由になる時間が出来る。練習は一人でも出来るから。」



孝輔は皆の手前、不安な気持を隠して報告している。



「孝輔は明日俺と学校へ行き手続きをする。
今日、学長と電話で一応の話をした。

三学期になれば、名古屋フィルとか言うオーケストラでバイオリンを弾いている音楽家が、非常勤講師として週一日だが来る事になっているらしい。
そうなればバイオリンの手ほどきも受けられると言っていた。

孝輔の気持が決って父ちゃんは嬉しいぞ。
やっぱり家から近いところが良い、なあ、ばあちゃん。」


「本当だよ。毎日あんな荷物を持って名古屋まで通うなんて… 
かわいそうだったよ。」



皆、学校のレベルなど関係無いように、楽に通える学校が最高だと思っている。


孝輔は、自分の落ち度で退学になったというのに、
喜んでいる家族を見て、泣きたいほど温かいものを感じていた。


大輔も同じように満足そうに微笑んでいる。



「孝輔、転校生だと言っていじめる奴がいたら、
俺が怒鳴り込んでやるから心配するな。」



大輔がご馳走を頬張りながら、
いきなり祖母たちが心配するような言葉を出した。


孝輔にしてみてもその事が一番の気がかりだが… 
が、その言葉で祖母たちの顔が変わっている。


孝輔が家の中で一番おとなしい子供だと分っているのだ。


この家でいじめに遭うとしたら孝輔しかいない。


時々新聞に出ている,
いじめが原因で自殺した、と言う記事… 

 
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