ツインの絆
勿論、真理子にしても、おなかの子は自分が本当に愛した男の子供だ。
産むと言うからにはそれなりの覚悟はあるのだろう。
しかし、母の庇護の下、好き勝手に生きてきたから、家族との絆を築けない。
その行動も、同情を感じるより非難に値する。
確かに今は、産んで育てる、と言う気持ちかも知れないが、
それがどこまでなのかは誰もわからない。
それでも、家にさえ居れば、祖母の春子やお手伝いの則子も居る。
別に父や弟たちの尽力に頼ることも無いだろうが…
野崎の男たちは、強い絆に結ばれたような気になり、はっきりと結論に達していた。
そしてそれを話し合った事で、今まで心の奥に留まっていた不必要な心情が噴出し、それを理解出来た。
特に浮雲のような不安定な気持に襲われがちだった孝輔、
自分の将来像が見えるようになってきた。
昔は有名なバイオリン奏者になる事が夢だったが、
有名でなくてもバイオリンを愛し、
聞いてくれる人たちが幸せな気分になってくれれば、それが一番だと気づいている。
自分は野崎孝輔。
三河武士がそうだったように、
自分も外部から野崎を支える一員になりたい。
和ちゃんみたいにスマートには出来なくても、
大輔の気配が感じられるところにいて、何かの役には立ちたい。
その気持があれば、これからの生活がどんなものであろうと、乗りこなせる気持がする。
野崎の双子は、双子は双子でも並みの双子と違う。
お互いが必要としている時は必ず応える事の出来る、特別な絆がある。
声に出さなくても二人の間ではその言葉が生じている。
了
