君に幸せの唄を奏でよう。
【佳奈 Side】
「遅かったな」
私たちが理科室に入ると、亮太くん達は指定された席に座っていた。
「唄希?どうしたんだ?」
少し不機嫌そうな表情の唄希ちゃんに、亮太くんが心配そうに声をかける。
「何もないわ。ただ、虫の居所が悪いだけよ」
唄ちゃんはそっけなく返事をして、自分の指定された席へと着いた。
「「相原、何かあったの(か)?」」
2人が、不思議そうに小声で聞いてくる。
「さっきね、先生に髪のこと言われたの」
「なるほど。いつものパターンか」
私たちは、中学校から一緒。だから、唄希ちゃんの髪の事については良く知ってる。中学校でも、先生に“染めてるだろ!”と散々言われ続けてきたけど、宮沢先生が一番酷い。
「それにしても、いつもより怒り過ぎじゃない?」
浩ちゃんは、怒っている唄希ちゃんを見ながら聞いてきた。
「それが、先生も先生で唄希ちゃんを疑いまくって酷かったの」
先生も、あそこまで疑わなくてもよかったのに…。唄希ちゃんの事を否定し続けて、凄く嫌だった。
「ちなみに、言ってきた先生は誰だったの?」
浩ちゃんが、首を傾げながら質問をする。
「この前、新しく来た宮沢先生だよ」
「あ~なるほど。あの先生に言われたのか。唄希も気の毒だな」
「「どういうこと?」」
亮太くんの言葉に、私達は訳が分からなくて声をそろえながら聞く。あの先生って……?ただ、浩ちゃんと目を合わせて首を傾げた。
「お前ら知らないのか?あの先生、超有名だぞ。いちいち注意してきたり、偉そうに言ってきたりとかして、超うざがられて有名だ」
本当そういう先生って面倒くさいよなっと、一言付け足して話してくれた。
「なるほど。その先生に注意されて、怒ってる訳か」
「だから、唄希ちゃんが目をつけられたんだね…」
私たちはを納得した。けれども、先生は知らなかったとはいえ酷すぎる。
私は、心配になり唄希ちゃんの様子を伺う。唄ちゃんはイライラした様子ではなく、ノートをパラパラとめくっている。その姿を見て、少し安心した。そんな事を考えていると先生が教室に入ってきて、席に座るよう呼び掛ける。私は、慌てて指定席についた。
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「相原、俺みんなのレポート出してくるからビーカー洗って」
「分かった」
実験も終わり、後片付けをしている最中。同じ班の宇川君に頼まれ、私はビーカーやガラス棒を洗う。残りはビーカーだけなのだけど、スポンジで擦っても中々汚れがとれない。
多分、このまま片付けてもいいと思うけど、どうせなら綺麗にして返したい。ただ、その一心で洗ってたら。
「相原、手伝うよ」
顕微鏡を片付けに行ってた浩ちゃんが、声をかけてくれた。
「そ、そんなの悪いよ」
「二人で、片付けた方が早いよ。貸して」
浩ちゃんは、私の手からスポンジを取りビーカーを洗い始める。