君に幸せの唄を奏でよう。
「これが、課題だ」
先生は、問題がびっしりと書かれているプリント2枚を渡してくれた。
「内容は、今日やったとこだ。明日までにちゃんとやってくるんだぞ」
うわぁ…面倒くさッ!
「お前…今、面倒くさいって思っただろ?」
先生は、ギロリと目をあたし向けて睨む。
「いえいえ!滅相もございません!ありがたく頂きます!」
「よろしい。分かっていると思うが、明日までには提出しろよ」
いろんな意味で疲れた。とりあず、亮太達の所へ行こう。貰ったプリントを入れようと、リュックを開けた。
「高橋、落としたぞ」
先生が、紙切れを持っていた。その紙切れを見て、あたしの体が固まる。
「何々…亮太と待ち合わせをして、1時からライブ「ダメっ!」
我に返ったあたしは、先生の手からライブの予定を書いた紙を取り戻す。だけど、嫌な感じがして心臓がバクバクと鼓動が激しくなる。
お願い、気付かないで……!そう願いを込めて、恐る恐る先生を見つめたけど、
「高橋、バンドやっているのか?」
うわああぁ!一番知られたくない人に知られた!
「………はい」
あたしの願いは、虚しくも届かなかった。そして、見られた以上質問に答えるしかない。
「お前は何をしているんだ?」
何故か先生は生き生きとした表情で、興味が湧いたらしく質問をしてきた。
いい歳して、興味湧かないでッ!
「……ヴォーカルとギターです」
「ほぉ…凄いな。寝るしか脳がないと思っていたが、高橋見直したぞ!」
そう言いながら、あたしの肩を嬉しそうに叩いてくる。
「……ありがとうございます」
別に、先生に見直されなくてもいいですからっ!てか、お願いだから早く解放して!
すると、先生は、ん?と疑問を含んだ声を発した。そして、何かを思い出したみたいで話し続けた。
「亮太って…もしかして、篠原の事か?あいつは、何をしているんだ?」
まだ、食い尽いてくるんかいッ!
「篠原君は、ベースをしています」
「ベースか…」
先生は、ブツブツと呟く。