君に幸せの唄を奏でよう。
「いい曲だね。心が温かくなる」
「そうだな。相原でないと作れない曲だな」
「あ、ありがとう」
亮太と浩ちゃんにの言葉に、さらに嬉しそうな顔をする。
「本当、凄いな。僕なんて曲なんか作れないよ」
浩ちゃんは羨ましそうに、佳奈の曲を見つめながら言う。
「お前は、ドラムだからな。曲を作るよりも音を叩きたくなるだろ?」
「うん。どっちらかって言われたら、音を叩くほうが好き」
亮太の言葉に、素直に認めて答える浩ちゃん。
さすが、亮太。よく浩ちゃんのことを分かってる。
「だろ?俺はベースで、相原はキーボードだから曲が作りやすいんだよ」
「確かにそうかもしれないわね」
あたしは、亮太の説明を聞き納得。すると亮太は、少しだけ目を細めて、あたしに話かける。
「……で、お前も一応作ってきたんだろ?」
案の定、亮太は期待が薄な顔をあたしに向ける。
「ナメないでいただこうか。篠原くん」
「お前、誰だよ」
「なんと!2曲作ってきました!」
亮太のツッコミを無視して、あたしはピースをする。
「へぇ~。高橋にしちゃ、珍しいね」
「凄いね!唄ちゃん!」
「初めてじゃないか?お前が2曲作るなんて」
みんなが珍しそうな顔で、あたしを見つめる。確かに、みんなの反応は正しい。曲を作るのが大の苦手。ギターを持っているけど、何故か音も歌詞も思い付かず作れない。
いつも曲を決める時は、1曲出来ているか中途半端のどっちか。これまで、あたしが作ってきた曲は殆ど採用されない。
「本当に大丈夫なのかよ?」
亮太が、本気で心配そうに話かけてくる。
「大丈夫!まずは、見てから文句を言って。じゃあ最初は、自信のないやつからね」
私は、みんなに自分が作ってきた曲を見せる。