君に幸せの唄を奏でよう。
「それもあるけど、花田屋をナメんじゃないよ!」
「認めるんかいッ!」
あたしの発言に、さらに亮太を怒らせてしまった。なんでこの曲がダメなのか分からない。
だって、花田屋のシュークリームは、あたし達の住んでいる県で知らない人は居ないぐらい有名。だからこそ曲とコラボして、町おこしになるんじゃないかなって思ったのに……。
「まぁまぁ、そんなに怒るなよ」
「亮太くん落ち着いて!」
浩ちゃんと佳奈が、あたしをフォローしてくれた。
「僕はこの曲、新鮮でいいと思うよ」
「はぁッ!?」
浩ちゃんの言葉を聞いて、亮太はあたしを怒るのをやめた。
「さっすが浩ちゃん!」
曲の理解者が現れて、改めて浩ちゃんに感謝をする。
「だって、美味しそうな曲だしいいと思うよ」
とびっきりの笑顔を、亮太に向ける浩ちゃん。その笑顔を受けた亮太は、肩をぶるぶると震わせながら――――。
「このボケボケ二人組がァァァッ!」
「亮太くんダメ!」
ブチ切れた亮太の暴走を、佳奈が必死に止めてくれた。
「この曲を聞けば、みんながシュークリームを買いに行くじゃない」
「そうだね。曲の最後のオチもよかったし、僕は面白くていいと思うよ」
さすが、浩ちゃん。言うこと違うわ!
「ふざけるのも大概にしろ!」
「ふざけてなんかいないわよ。ねぇ、浩ちゃん」
「そうだね。だって、僕らはいつも……」
「「真面目に不まじめだから」」
あたしと浩ちゃんが綺麗にハモったから、さらに盛り上がる。
「相原、お前だけだ。この中で1番まともなのが……」
亮太は、佳奈の肩を両手で掴み泣きながら訴えていた。
「亮太くん?!しっかりして!」
佳奈は、心配そうに亮太に声をかけ続ける。亮太、瀕死状態。そして、佳奈の肩から手を離して、全身の力が抜けたかの様に動かなくなった。
「2人共イジメ過ぎだよ!」
これが、あたし達のいつもの日常。