『あなた』へ
センターを利用者している人はみんな笑顔が絶えない。



そして生き生きしている。



生きているだけで幸せだと言わんばかりに毎日を満喫し感謝している。



私は帰り道車の運転をしながらふと思った。



(もし自分が障害を抱えていたら?)



事故ったりしたら誰にだって十分になりうる状況だ。



(一人では運転もできない

食べたいときに食べれない

トイレに行きたいときに行けない

やりたいことも自由にはできない)



私だったらきっと絶えられない、そして自分の置かれた状況を歎き悲しむだろう。



あぁ、わたしはこんなに不幸なの、と。



だからそんな状況でも前向きに笑って幸せだと言える彼等、彼女等を尊敬する。



それに比べて私は、自分が置かれた状況が不幸で不幸で堪らないと言っている。



(私は・・・私は・・・)



『ぅっ・・・ぅっ・・・ぅあぁぁ・・・』



(ほんとは知っていたんだ

私は甘えてるだけだって

誰かに気付いてほしくて

誰かに同情されたくて

誰かに許してほしくて

誰かに愛されたくて

でも強くならなきゃってことも知ってたんだ・・・)



涙と共に心の悲しみも流れていった気がした。



それ以来リストカットを止めた。


前を向き歩きはじめた。



その道が間違っていたとしても人は歩かなくてはならないから。
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