バナナオ・レ





あたしが手を離そうとすると、ウジ虫も力を強める。

周りは皆見てみぬ振りをする。

ウジ虫がヤンキーだからやっぱり怖いのかな。

後、あたし・・・だし。



「もう帰るから」

思いっきり手を引っぱたいてあたしの腕は自由になった。





「おい!待て


『こいつ俺の彼女なんで』」





もう一度腕を掴まれそうになった時、何か声が聞こえた。

・・・え?

あたしも知っている大好きな声。

見ると



「慶太・・・」




大好きな横顔もあった。


ウジ虫はもう一つ大きい舌打ちをすると、どこかへ消えてしまった。



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