きみの腕の中で
「綺麗だって言ったこと?」
「…まさか」
「お世辞とか思ってんのかよ」
「まあ」
「逆に嫌味だぜ?そういうの」
口元だけ愉快そうに笑って
今の今まで仰向けに寝ながら、目元に腕を置くという体勢を変えようとしなかったくせに
腕を目頭の上らへんまで微かに動かして…
「逆に嫌味ってどういう意味よ」
「なんでもねえよ。気にすんな綺麗子ちゃん」
「キレイコじゃない。美羽」
これまた予想外なことを言った。
「じゃ、ミウ。まだ帰んなよ」