きみの腕の中で
まさかの言葉にポカンとした顔をした…のは周囲だった。
ソフトモヒカンでさえ、マヌケ面こそは他の人みたいにしなかったけど驚いたように“ミツキ”を見ていた。
「どうしたの?そんな唐突に」
クスクスと笑っている、言葉を向けられた張本人である私に対しても、ポカンとした表情を向けられた。
確かに私だって“ミツキ”の言葉に驚いた。
でも、マイペース人間の彼のことだから
こんなことを急に言ってもおかしくないんじゃないかって思えた。
初対面なのに。
「だって今帰ろうとしてたろ」
「…え?」
「帰ろうと思ったから俺に声かけたんだろ?」
「うん」
「だから帰るなって言っただけ」
「どうして?」