傷の行方
手術は全身麻酔だった



私の身体は生きるための薬で


麻酔があまり効かない



手術が終わり


ベッドへ移動する時には


麻酔が完全に切れていた



しばらくの間安静に


していなければならない



けれど 聞こえてくる


妊婦さん達の話し声に



私は耐えられず


ゆっくりと着替えて



フラフラの体で



会計をした


すると 看護婦さんが



叫んで まだ駄目です



と言った



私は会計を済ませたから



黙って病院をでた


家までの道で倒れた


もう どうなってもいいと


思っていた



授かった命を


私は自ら 消してしまった



最低の人間だと思った


消えてしまいたかった


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