闇夜の略奪者 The Best BondS-1
彼の中で、何が起こったのか。
唇が引き結び、凛々しい顔付きで彼は真っ直ぐに死神へと視線を向けたのだ。
「エナ。エディ、返してもらうぜ」
柄を握るエナの手の上から、大きな手が包み込む。
「悲しむのも怒ンのも、後回しだ。色んなこと一気に考えれっほど、器用じゃねェしな」
エナは躊躇し、ゼルを見上げる。エディが牙を剥かない保障が無かったのと、あとはほんの少しだけ「こんな高価なものを手放すのは惜しい」と思ってしまったからである。
「オマエは命の恩人だ。取り敢えず、解毒剤が要ンだろ? これ以上時間稼ぎしてても始まンねェ。オレが、アイツを倒す」
「……死んでも知らないから」
憎まれ口を叩きながらエナはエディの柄から手を離した。
「大丈夫だ」
ゼルは先ほどのエナのように何の躊躇いもなくエディを手にして立ち上がった。
そして一歩を踏み出し、エナを振り返って笑った。
「死ぬ気がしねェ」
それは、この空を突き抜けるような笑顔だった。
唇が引き結び、凛々しい顔付きで彼は真っ直ぐに死神へと視線を向けたのだ。
「エナ。エディ、返してもらうぜ」
柄を握るエナの手の上から、大きな手が包み込む。
「悲しむのも怒ンのも、後回しだ。色んなこと一気に考えれっほど、器用じゃねェしな」
エナは躊躇し、ゼルを見上げる。エディが牙を剥かない保障が無かったのと、あとはほんの少しだけ「こんな高価なものを手放すのは惜しい」と思ってしまったからである。
「オマエは命の恩人だ。取り敢えず、解毒剤が要ンだろ? これ以上時間稼ぎしてても始まンねェ。オレが、アイツを倒す」
「……死んでも知らないから」
憎まれ口を叩きながらエナはエディの柄から手を離した。
「大丈夫だ」
ゼルは先ほどのエナのように何の躊躇いもなくエディを手にして立ち上がった。
そして一歩を踏み出し、エナを振り返って笑った。
「死ぬ気がしねェ」
それは、この空を突き抜けるような笑顔だった。