桜ノ籠 -サクラノカゴ-

何を話したらいいのか、
どんな言葉をかけたらいいのか、

茜はわからなかった……。


「…なぁ、茜姉…。俺、どうしたらいいのか、わからないんだ」

藍色のネクタイを締める手を止め、
ふと、
青磁が呟いた。


青磁の
そんな言葉は、
そんな口調は、
はじめてで、茜は驚いた。


青磁の方を向くが、洗面所で支度をしている後ろ姿しか見えない。

「…どうしたのよ、急に…」

茜は、青磁の後ろ姿に尋ねる。


「伽羅ちゃんに、どうしてあげたらいいのか、わからないんだ。
……いや、後悔しているのかもしれない」


「後悔?なにを?」


「伽羅ちゃんを、…愛しいと思ってしまった。
抱きしめなければ、よかった。
俺は伽羅ちゃんにとって、優しいだけの存在でいればよかったんだ」





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