桜ノ籠 -サクラノカゴ-

ガチャ

自分の泣き声にまじり、扉の開く音が聞こえ、思わず顔を上げた。

すると、
そこには、出掛けたはずの、カズ兄の姿。


な、んで…?

涙と喉の苦しさで、問いが声にならない。



「…なんで、泣いてんだよ?」

カズ兄が、
ビックリしたように、困ったように、尋ねる。


なんで?

「な、…んで、カズ兄こそ…戻ってきた、の?」

震える声が、
やっと言葉となる。

涙とともに、零れる。


「伽羅の様子がヘンだったから、なんとなく…気になって…」

戸惑う、カズ兄。

「なに、泣いてんだよ?なぁ、伽羅…」

くしゃくしゃ、と、
私の頭を撫でるカズ兄の掌。



優しくて、

あたたかい、掌。



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