桜ノ籠 -サクラノカゴ-
振り向いた瑛李香さんは、
私以上に、
怯えた様な表情をしていた。
「水無月、さん……」
私の名を呼ぶ声も、
震えている。
怒りで、震えているのかと思った。
でも、
それは違った。
「水無月さん、なんで?だって、今日は和季の命日じゃないのに……」
穏やかだけど、震える声。
そう、
今日は、カズ兄の命日じゃない。
その日は、
とうに過ぎてしまった。
私が、
再び闇に溺れてしまった、あの秋の季節にーー