桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「えぇ、あの日には、間に合いませんでした。私が弱いから、ずっと、ずっと来る事ができなかった。
でも、やっとここまで来れました。今日は、月命日ですから」


季節は移り過ぎてしまったけれど。

それでも……




「バカね、私……」


突然、
小さいけど、震える瑛李香さんの涙声が聴こえて、
驚いた。



「……今日なら、誰にも会わずにすむかと思ったのに…。
あなたに会わずにすむかと、思ったのに……」


表情を隠すかの様に、うつむく瑛李香さん。

表情は分からないけれど、
私に会いたくなかったのだとわかると、

心が、痛んだ。


「ごめんなさ……」
「やめて!」


私の言葉を遮り、
瑛李香さんが顔を上げた。






瑛李香さんは、



泣いていた。




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