桜ノ籠 -サクラノカゴ-
ポケットに手を伸ばし、桜の葉のしおりに、触れる。
ふう、と小さく深呼吸。
うん。
「咲耶ちゃん」
名を呼ぶと、私を振り向く。
「……明日から、朝も帰りも、私一人で大丈夫、だから…」
「伽羅?」
「だから、咲耶ちゃんは、ちゃんと自分の好きな事、して。部活も、コータ君の事もー」
そう、憶い出す。
咲耶ちゃんは、走る事が好きで、中学から陸上部で、
今は学校が違うけど、中学からつき合っている、コータ君が、いたことを。