冬の日の犬のお話
車に戻ると、二人の女の子が駆け寄ってきた。


『これは、あなた達の犬なの?』


『ううん、違うの。
ずっと前から、あそこに座ってたの。』
『誰も止まってくれないし、心配で心配で…』


手袋をしていない小さな手が、凍えていた。


『そっかぁ…わかった。後は私が引き受けるから、おうちに帰りなさい。風邪ひくよ。』


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