冬の日の犬のお話

不機嫌な獣医


──あった!


室岡動物病院。
もう診療時間が終わったのか、駐車場には一台の車もとまっていない。
窓から覗いてみると、獣医らしき初老の男が新聞を読んでいる。


──看てもらえるか、
訊くだけ訊いてみよう…


『すみません、もう終わっちゃってます?』


男は振り返り、真樹子にもそれと分かるように舌打ちをした。


──やな感じ…

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