雨音色
『お父様、タマへ


お元気ですか。独逸は日本より涼しく、すっかり秋の模様です。


私たちは先日、ようやく独逸へ到着し、今は独逸の都市、伯林(ベルリン)におります。


野村先生の計らいもあって、何とか2人で暮らしております。


こちらの日本人とも出会い、毎日が発見と驚きの連続です。


いつもわくわくしていて、明日には何があるのか、それが楽しくて仕方ありません。


日本はいかがでしょうか。


やはり、お父様、タマに会えない毎日は、何となく寂しいです。


毎日必ず、お二人のことを思っています。


寝る前には、お父様とタマ、そしてお姉さまたちの幸せを祈っています。


体調は崩されていませんか。


この手紙が日本に到着するころには、


きっとお家の庭の木々も、美しく色づいているのでしょうね。


今年はそれを絵にできないので、その代わりに、


今住んでいるところの近くの公園にある紅葉を描いてみました。


どうぞ、健康にはくれぐれもお気を付けください。


また、「クリスマス」のころに、お手紙を差し上げます。


「クリスマス」というのは、こちらの伝統行事で、


親しい者に葉書か手紙を送るようです。







幸花







追伸


3年後帰った時、私が結婚式に着る着物を、用意しておいてくださいね。』




















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