雨音色
肩の力が一気に抜けていく。
今度は彼女が呆気にとられてしまう番だった。
まさかここまで直球に尋ねられるとは予想しておらず、
多少面食らってしまったのである。
彼女はこれまでの見合いの経験上――それも助教授ばかりだったのだが――
上る話題は自己の専攻と自慢話だけだと思っていたからだ。
「無理なさらないでください。正直なことを言っていただいて構いませんよ」
「・・・」
そこまで言われてしまうと、本当の事が言えなくなってしまう。
彼をまじまじと見つめた。
「・・・父にあらかじめそう言われたのですか?」
彼女が怪訝そうに尋ねた。
「いえいえ。貴女様の様子からすれば明らかですよ」
彼が朗らかに答えた。
食事中、彼女は一度も彼の方を見向きもしなかった。
一言も発することなく。
一応相手は学者。
それだけすれば気が付くに決まっている・・・。
彼女は恥ずかしさで自分の頭に血が上っていくのを感じていた。
「実を言えば、僕もです」
「・・・はい?」
今度は彼女が呆気にとられてしまう番だった。
まさかここまで直球に尋ねられるとは予想しておらず、
多少面食らってしまったのである。
彼女はこれまでの見合いの経験上――それも助教授ばかりだったのだが――
上る話題は自己の専攻と自慢話だけだと思っていたからだ。
「無理なさらないでください。正直なことを言っていただいて構いませんよ」
「・・・」
そこまで言われてしまうと、本当の事が言えなくなってしまう。
彼をまじまじと見つめた。
「・・・父にあらかじめそう言われたのですか?」
彼女が怪訝そうに尋ねた。
「いえいえ。貴女様の様子からすれば明らかですよ」
彼が朗らかに答えた。
食事中、彼女は一度も彼の方を見向きもしなかった。
一言も発することなく。
一応相手は学者。
それだけすれば気が付くに決まっている・・・。
彼女は恥ずかしさで自分の頭に血が上っていくのを感じていた。
「実を言えば、僕もです」
「・・・はい?」