雨音色
「あ、そうだ、クロード・モネという画家をご存知ですか?」


「え?えぇ、まぁ・・・」


突然の話題の変更に、彼女はまた驚かされた。


「私達が今立っているこの橋、似てませんか?

彼の作品の・・・えっと、何でしたっけ、作品名」


「・・・『睡蓮』・・・ですか?」


「そう、それです。僕、去年まで欧州にいた時、見る機会があったのですが、

とても素敵でした。それで、そう、それを思い出したんです」


「・・・」


「僕、あまり絵心無いんです。

何てったって、学生時代、僕の美術の成績は『丙』でしたし。

でも、あの人の絵には感動しました。

何と言うか、あの柔らかな光の描き方、というか、西洋画独特の・・・」


笑顔が優しい、純粋に、彼女はそう感じていた。


「あれ?僕何か変な事言いました?すみません。

僕、普段は男ばかりの生活で、あまりご婦人の方々と話し慣れておらず・・・。

ご無礼をお許しください」


男が深々と頭を下げる。


「いえ・・・。あの、私、モネが好きなんです」


内心では、彼女はかなりの動揺を覚えていた。
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