心の中の宝物
「私ね・・・」

急に亜美が口を開いた。

何時間こうやって泣きあっただろう。

「私ね、それからさーすごく悪い事を何回もした。援交もしてお金も稼いだ。でもな、桜に出逢って何だかこの子なら私の事をわかってくれるって思ったんだ。桜は私を頼ってくれた。必要としてくれた。」

何だか照れくさい。

「でも、あの桜が先生に連れて行かれたとき桜はもう私の所には帰ってこないって思った。その勘はあってたしな・・・その日以来私は桜にとって必要のない存在になった。私は桜の心を動かせない。みなみの時もそうだったし・・・」

「そんなことない!私にとって亜美はとても必要だよ。そりゃー私は先生を頼りぎだよ。でもね、先生か亜美かだったら私は絶対亜美を取るよ。亜美が学校行かないでって言ったらもう学校には行かない。ずっと二人でここにこもりっぱなしでもいい。私があの時どんなに亜美に救われたかわかる?亜美は見ず知らずの私に声を掛けてくれた。ずっと一緒にいてくれた。本当に言葉では言い表せないぐらい感謝してるんだよ。」


「桜・・・」

「過去の事は辛いと思う。でも今度からは私が亜美の辛さを受け止めてあげる。私は話を聞くぐらいしかできないけど、亜美の役に立ちたい。こんな事しか言えなくてごめん。」

「ううん。その言葉がほしかった・・・」

亜美・・・




本当に友達って良い者だね。

私はもう表面上の友達なんて要らない。

こうやって心から信頼し合える友達がいるなら充分だよ。

亜美、みなみ大好きだよ。


私たちはこの日寄り添って一つの布団で寝た。

「なあ、桜?」

「ん?」

「友達って良い者だな。」

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