ひまわり畑と彼の記憶(短)





送ってもらったのは4時になる少し前で、冬の夜は長く、まだまだ辺りは真っ暗だった。

私が降りると、続いて亜衣も降りてきて助手席に乗り込んだ。

武ちゃんは嬉しそうに「な、可愛いだろ」なんて耳打ちしてきて、後頭部を思い切り叩かれた。


「じゃ、気をつけてね」

「それはこっちのセリフ。あんた方向音痴なんだから、久しぶりに行って迷子にならないでよね」

「……了解」


そっか、2年ぶりか……確かに道を覚えている自信がない。


「迷ったらすぐ電話掛けてこいよー?俺らがぶっ飛んでってやっから」

「ん、ありがと」


「じゃあ、」と軽く手を挙げて帰って行った2人を、車が見えなくなるまで見送った。





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