濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-


『翔ちゃん…翔ちゃん…』




ん?この声は紗耶か?


何度も俺の名を呼ぶ紗耶。


まさか夢にまで出て来たのか?


それも、無くした記憶の呼び方で呼んでる。


うっすら瞳を開くと、目の前で、それもドアップで俺を見つめる紗耶。




「翔ちゃん。もうお昼前だよ。ねぇ、式場決まったから見て欲しいの」


「……紗耶?」


「うん?どうしたの?」




不思議そうに首を傾げる紗耶。


まさか…お前…。



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