約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて

車が停まった。

亮君は、ハンドルを握りしめた
まま頭をハンドルに押し付けて
いる。

重たい空気に押しつぶされて
しまいそう。

だって車が止まったのは、病院
の駐車場だったから。



 「真幸おいで。」

助手席で固まってるわたしに、
わざわざ助手席まで回って
ドアを開けてくれる。

少しだけいつもの優しい亮君
に思えてホッとした。

差し出された手を取って
車から降りたわたしに、

 
 「真幸ごめんな。」

そう言って亮君は歩き出した。

また、不安で押しつぶされそう
だった。

< 115 / 207 >

この作品をシェア

pagetop