約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて
亮君が長い廊下の一番向こう
の病室の前で止まった。
わたしは慌てて追いつく。
その部屋だけ明るい。
静かな病院。
その部屋からだけ
泣きすする声が聞こえてくる。
わたしは、ドアの前でゴクッて
喉を鳴らした。
そして、亮君のシャツの裾を
握りしめて、病室の名札に
目をやった。
薄暗い廊下の灯りではきっと
見にくかっただろう。
でも、皮肉にも病室から漏れる
灯りが明確にそれを映し出した。
そこに書かれている名前に
わたしは息を飲んだ。