約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて

亮君が長い廊下の一番向こう
の病室の前で止まった。

わたしは慌てて追いつく。

その部屋だけ明るい。


静かな病院。
その部屋からだけ
泣きすする声が聞こえてくる。



わたしは、ドアの前でゴクッて
喉を鳴らした。


そして、亮君のシャツの裾を
握りしめて、病室の名札に
目をやった。



薄暗い廊下の灯りではきっと
見にくかっただろう。

でも、皮肉にも病室から漏れる
灯りが明確にそれを映し出した。


そこに書かれている名前に
わたしは息を飲んだ。





< 117 / 207 >

この作品をシェア

pagetop