幸せという病気
「・・・あれ?」




「・・・」








しかし再生をクリックしても、何も聞こえてこない。









「何これ・・・何も入ってないのかな・・・」









遥の問いに、竜司もさっぱりわからない顔で首を傾げる。











「・・・なんだ・・・空のCDか・・・」














そう言い、竜司は停止をクリックしようとした。











「待って」



「ん?」









遥が竜司の手を止める。












「再生されてるって事は一応、データはあるんだよね?・・・最後まで・・・聞いてみよ?」









「・・・あぁ」











そして竜司と遥は、早送りをする事なく、そのままの状態で静かにスピーカーに耳を傾けた。










少しして、竜司が遥に話し掛ける。









「・・・こうやって生きてんのも・・・なんか不思議だな」



「・・・うん」



「・・・武さんは・・・天国で親父さんとお袋さんに会えたかなぁ」



「うん・・・きっと会えたよ」





二人はソファーに腰掛け、武の部屋を見渡した。





「なんだったんだろーなぁ・・・この一年」


「ん?」



竜司がそう呟くと、遥は優しく聞き返す。


そして竜司が目線をやった先には、旅行へ行った写真が飾られていた。



「・・・あっ。あの写真」




「旅行のだぁ・・・」




そして遥はそれを手に取り、思い出すように眺める。



「・・・みんな・・・楽しそぉ・・・」



そう言うと、遥の顔が切なくなった。






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