龍の女神となるべき姫【上】
―――え?
“しょう”?
俺の中に、黒いもやもやとしたものが広がるのがわかった。
だって。
・・
……その単語を聞いて考えられるのは、ただ1つ。
男の名前―――だから。
……なぁ、誰だよそいつ?
こんなに涙を流すほど。
こんなに辛そうな顔をするほど。
お前にとって、大事な奴なのか?
きっと亜美にこんな顔をさせられんのは。
世界中で、たったひとり―――
“しょう”だけだ。
そんな現実が叩きつけられて、胸が痛ぇ。