龍の女神となるべき姫【上】


「……」



『さよならー……』




やっぱ耐えきれなかったのか、女がこっちに下がってきた。




本当に俺の存在に気づいてなかったんだろう。


女は慌てたように振り返った。




目を見開いた女が、俺に向かって発した第一声は。



『綺麗……』




は?



女の顔を見れば、それが本気の言葉だってことくれぃわかる。



……だからこそ、対応に困るんだけどな。




正直、むず痒い気分だ。




でも、男に“綺麗”はねぇだろ。


< 82 / 303 >

この作品をシェア

pagetop