龍の女神となるべき姫【上】
「……」
『さよならー……』
やっぱ耐えきれなかったのか、女がこっちに下がってきた。
本当に俺の存在に気づいてなかったんだろう。
女は慌てたように振り返った。
目を見開いた女が、俺に向かって発した第一声は。
『綺麗……』
は?
女の顔を見れば、それが本気の言葉だってことくれぃわかる。
……だからこそ、対応に困るんだけどな。
正直、むず痒い気分だ。
でも、男に“綺麗”はねぇだろ。