あたし、脱ぎます!《完》



「おはよう。

この子が
新人の萌香ちゃんだよ。

宜しく頼むよ」



真鍋さんは
その女性にあたしを紹介した。



「おはようございます。

永井萌香です」と

会釈すると、


「私は
ヘアメイクのERIです。

真鍋さんのところのタレントは

私がヘアメイクすることが多いの。

だから
これからも宜しく」



髪を
一本に縛り、

色黒の女性は
顔をクシャとさせ微笑んだ。

年齢的に
お母さんと同じぐらいだろうか。

人を和ませてくれる、

そんな笑顔だ。



「今日、
どんな服を持ってきたの?

見せてくれる??」



契約書を
交わした日、

真鍋さんから撮影で着る

“自分らしい服”を
持ってきて欲しいと言われていた。


あたしは
ボストンを開け、

スカートやTシャツ、

ブラウスなど……

テーブルに広げ、
二人に見せた。


ピンクや黄色の
カラフルなシャツやフリルのついたスカートに

二人は、
「んんん…」と、

顎に手を置き、

唸るような声を出した。


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