あたし、脱ぎます!《完》



「ほら、
萌香もせっかく雄ちゃんに来てもらったんだから、

一緒に練習しなさい」



お母さんは
リビングに入ろうとしないあたしを手招きする。



台本を
受け取った雄介が、

パラパラと捲り、
「このケンって役か?」と尋ねた。


あたしは
「うん……」と

頷きながら
ソファの横に腰を下ろした。



お母さんは
オレンジジュースをコップに注ぎ、
お菓子をテーブルに出すと



「買い物に行って来るから、

二人でしっかり練習してちょうだい」と言って家を出て行った。



静まり返るリビング。


雄介のページを捲る音だけが
響いていた。



「どう??出来そう?」



気まずさから
解放されたい思いで、
声をかけた。



「……う、うん。

演技なんかやったことないけど……

何だか面白そうだな。

歌と演技って
表現する意味では似ているからな」



一通り読み終わった雄介は

コップのオレンジジュースに口をつけた。



「今日はごめんね。

お母さんが強引だから……」



「大丈夫だよ。

おばさんの強引なところは
昔からだよ」



また沈黙が流れるが、

「じゃ……
やってみようぜ」と言う雄介に、

とりあえず、
読み合わせを始めた。


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