あたし、脱ぎます!《完》



「……俺、

萌香に相応しい男に
なろうと思って」



うつむいたまま、
言葉を付け足すように言う雄介。



「どういうこと?

雄介は
今のままでもカッコ良いよ」



「いや、
今のままでは
自己満足で終わるような気がして……。

萌香も
頑張っているんだから、

俺も
しっかり目標を持って
生きて行きたいんだ。

そして
夢を叶えて行きたいんだ」



いつになく
熱い雄介に、

少しだけドキッとする。


だけど……、

あたしは
そんな立派な人間ではない。


だって、
これからすべてを捨てようと思っているんだから。



「萌香?
オーディションに
受かったら、

俺のこと真剣に
考えてくれないか?」



「……えっ?」



突然の提案に、
言葉が出て来ない。


あたしは
淳平くんのことを忘れていない。


それに
今のあたしは
雄介が思っているほど

向上心を持って
仕事に取り組んでいない。


完全に美化されている。



「駄目か?」と
弱気な声で訊く雄介。


ちゃんと話さなくちゃ……。

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