あたし、脱ぎます!《完》



いよいよ
俺たちの順番が回ってきた。


理が
壇上に上がり、

萌香の前に立った。



「わあ!!理くん!!」



案の定、驚く萌香。


すると、
理は俺のほうを向き返ると、

萌香もこちらを向いた。


萌香の口元が
「えっ」と驚き、

表情が固まったのを見逃さなかった。



俺が来ちゃマズかった……と思うほど、

重い空気が一瞬流れる。


だが、
理のふざける姿に、

萌香も
少しだけ気持ちが紛れたようだ。



そして、

俺の番に……。



「あ、あ、ありがとう、ござ、います……」



「うん。会場の外で待ってる」



俺は
萌香のモチベーションを
崩さないために、

すぐ去ることを選択した。



今の萌香は、

皆の萌香であり、

一人の人気グラビアアイドル
“永井萌香”なのだ。


俺の後にも
たくさんのファンが萌香を待っている。


萌香から
元気を貰おうとしているのだ。



どうか、
萌香が引き続き、

たくさんの人を笑顔に出来ますように……。



俺はそう願って、会場を後にした。

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