あたし、脱ぎます!《完》
「淳平くん!
うちらのことも忘れないでよ!」
佳代があたしの腕を掴み、
「ね?」と
同意を求める。
「う、うん…」と
ぎこちない返事しか出来ないあたしに、
淳平くんは視線を向けた。
「久し振り。
卒業式以来だね。
メールもしてなかったからね」
「お久しぶりです。
……メール
入れても良かったですか?
忙しいと思って」
「全然、
気にしなくて良いよ!
東京来た時は案内するって
約束したじゃん」
淳平くんは
タオルで額の汗を拭いながら微笑んだ。
久し振りに見る淳平くんの顔。
ホント、
カッコ良くて
ずっと見て居たくなっちゃう。
「おい!桐谷!!
ミーティングするぞ!!」
アゴ髭を
生やした先輩らしき人が、
コートから淳平くんを呼んだ。
「ゴメン!
行かなくちゃ。
せっかく来てくれたのに、
ちょっとしか話せなくてごめん」
「……い、いえ。大丈夫です」
も、もう行っちゃうの?!
まだ
5分も話していないのに。
心の嘆きとは
別に、
表情だけは明るく振る舞った。
「佳代ちゃんもまた!!
理もまた呑もうな!」
「おお!!またな!!」
あたしは淳平くんに
「あの……」と声をかけた。
「ん??」と
向き返る淳平くんに、
「またメールします」と伝えた。