last~舞い散る雪の羽根~
「・・・で、だ」


席替えにも関わらず、おれの席は変わらなかった。


「なに、和っち」


ついでに、後ろのヤツも変わらなかった。


信じられないほどの偶然だ。


ここまでくると、呪いなんてものを信じてみたくなる。


「あははー、よろしくねー雪村くん」


「なんでこうなるんだよっ!?」


そして隣に花岡が来た。


「絶対これおかしいだろっ!」


「いやー、ささいな偶然の積み重ねが、わたしたちを引き合わせたんじゃないかと」


「引き合ってねぇよ」


相変わらず、周囲の男子の敵意はおれに向きっぱなしだし・・・。


「ま、あきらめな。別にいいじゃん、あたしは大歓迎だよ。転校生と席が近くてからみやすいから、仲良くなれそうだし」


「おれは仲良くなる前に死ぬかもしれん・・・」


井口は、社交的で馬鹿みたいにテンション高いからな。


やかましい花岡とは気が合うかもしれない。


「ほらほら、元気出して、新学期はまだまだ始まったばかりだよっ。さわやかな朝、穏やかな登校風景、すべてが始まる始業式、戦争が起こる昼の学食、楽しい楽しい放課後、そして夜のお楽しみタイムっ」


「お前もう国に帰れ」


「あらまぁひどい、奥様聞きました?国に帰れですって!もう帰る国なんてどこにもないのに!」


「和っち、さいて~」


さっそく息ぴったりに話してやがるし・・・。


おれの平和な日常は、もろくも崩れそうな予感がした。




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