秘密の花園

小休止


二次審査まで少し時間が空いたので、私は構内を見て回ることにした。


昨年は、授業がないのに学校に来るのが面倒だったから、参加するどころか見物すらしなかったのだ。


受付でもらったパンフレットを歩きながら広げてみると、サークルで出している屋台や企画展示のいくつかには心惹かれるものがあった。


私はその中でも現在地から一番近くにあった、焼きそばの屋台へ向かった。


だって、お腹空いたんだもん。


朝から緊張と冷や汗の連続で体力を消耗していた。


ぐーっと景気よく腹の虫が鳴る。


ダイエットや節制という単語は頭から意図的に排除した。


「すいませーん。焼きそば2つください!!」


店員に小銭を渡してプラスチックのパックを2つ受け取ると、私はその場で割り箸を割り猛烈な勢いで焼きそばを啜りだした。


「あ、マリサンカートの人だ」


通りすがりのカップルが私の格好を見て、指を差す。


ミスキャン参加者は全員お揃いのTシャツとデニムの短パンを履いている。おまけに胸には番号札をつけたままだったのだ。

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