秘密の花園




「お会計お願いできますか?」


「わわわわわかりました!!」


水瀬さんが持っていた本を両手で受け取る。なんかよくわかんないムック本だ。表紙を見る限りシャレオツな感じだ。


こんなものがこの本屋にあったのか。


こんな寂れてる本屋に水瀬さんが来ること自体おかしい気がするけど、水瀬さんのような素敵な殿方が買うような本がこの店の中に存在することもびっくりだ。


店長ありがとう!!あんたのおかげで水瀬さんのご尊顔を拝見することが出来たよ!!


それにしても水瀬さんはいつの間にお店の中に現れたのだろうか。


私がピンクのモヤモヤに惑わされている時?


妄想に耽っている間抜け面をさらしていたのならそろそろ現実社会を生きていくのは危ういだろう。


「いくらだっけ?」


「えっと…はははは、はっぴゃくえんです…」


「ちょっと待ってね…」


そう言って財布の小銭を探し出す水瀬さんをチラリと盗み見る。


長い睫毛に、丸い瞳。幼さの中にほのかな気品を漂わせている美しすぎるお顔に、クラリと目眩がした。


す…素敵すぎる…。


鼻血はダメだ。鼻血だけは!!


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