妖魔04~聖域~
冬狐に一通りの事情を説明する。

「それで、私に何をしろと?」

露骨に早く帰って欲しいという雰囲気を出している。

「面倒な話だが、簡単に岩を砕く物を作ってもらいたい」

「解った解った。協力してあげるわ」

「お前にしちゃ物分りがいいな。もっと嫌がると思っていたがな」

「私は神に等しい存在よ。他人には恩恵を与えてあげないと」

裏では何かを企んでいるが気にしない。

「はい」

「おい」

「何?」

手渡されたのは鉄槌だった。

「ここまで原始的な物を寄越すとはな」

「原始人並の脳みそしかないんだから、それでいいじゃない」

「神にしちゃ安っぽいな。まあ、お前が貧乏だという事がよく解った」

「改革派が現代の人間が使用している道具に頼ろうっていう事が間違いなのよ。自覚あるの?」

「面倒なことは嫌いなんだがな」

「現代の人間と同じこと言うのね」

「一緒にするな」

鉄槌を受け取ったがやけに重い。

部屋の何処に隠していたのかは解らないが、不法侵入者はこれで撲殺されるだろう。

「持て」

「私は箸よりも重いもの持ったことがないんだ」

「さっきラーメンの器を軽々しく持っていただろう」

柄を握らせチェーンを巻きつけて南京錠で鍵を閉める。
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