妖魔04~聖域~
「当たらなかったからいいんだけどもって、おいおい」

隣のレーンにいるのは、退魔師の皆さんだ。

端から、萌黄さんに丸のおっさんに子鉄に頬傷の男。

それに、親父と洋子の二人。

彼氏が彼女の家族と交流でも図っているのか。

親父と洋子は明らかに邪魔者になってるような気がする。

何たる不運。

「オホホホ、私ったら、ヤダわ」

投げたのは萌黄さんだったらしい。

隣のレーンの真後ろに投げるって、どれだけ不器用なんだ。

しかし、親父と洋子は何で日本にいるんだ?

テンプルナイツの島にいたんじゃないのか。

動き始めたというのか?

親父や洋子だけが日本に帰ってきたという事もあるかもしれない。

それは都合よく考えすぎているか?

親父はすごい面倒くさそうな顔で俺を見ている。

しかし、吟のほうを見るや否や、輝いた目つきになった。

そういえば、親父の奴、吟との体の関係があるんだった。

俺的にピンチじゃないか?

迫られて、吟が断らないという保証はどこにもない。

でも、吟のことを信じたい。

親父が近づこうとすると、隣の洋子が押さえ込んだ。

「駄目。あんたは私の隣だ」

動こうとしても洋子の力が強いせいで前に進めないでいるらしい。

吟は変わらない表情のままだ。

「えっと、今度からは気をつけて下さい」

俺がボールを拾い上げると、結構な重さだった。

見ると、十八ポンドというありえない数字。
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