たった一人の… 【短編】
私は琉聖との別れを決意して、琉聖の家に向かった。
羅『ただいま…。』
琉『本当ごめん…。』
そう言って、琉聖は土下座をしていた。
羅『私…琉聖と…別れる。』
言葉とは裏腹に、私の頬には次から次へと涙が伝う…。
琉『何言ってんの?赤ちゃんどうするんだよ?!』
羅『私、一人で育てる。』
琉『そんなの絶対にダメだ。俺は別れるなんて嫌だからな!!』
羅『私、もう決めたの。あなたみたいに、父親の自覚もないような人と一緒になんていられない。 私がどんなに頑張ったって、結局琉聖は私を裏切ったじゃない。もうこんな思いしたくないから!!だから、別れてよ。』
私は必死に訴えた。
だけど、この時の私は琉聖にわかってほしかったんだ。
父親としての自覚を…。
父親としての責任を…。
そして父親になる喜びを…。
産まれてくる、私達の最愛の赤ちゃんのために…