たった一人の… 【短編】
琉聖が私を裏切っていた事がわかってから一週間。
そして私が琉聖との別れを決意してから一週間が経とうとしていた。
あれからも私達は毎日同じ様に、別れ話をしていた。
未だに琉聖は首を縦には振らない。
私は、話をする事すら嫌になってきていた。
どうやったら琉聖は、別れてくれるのか…。
私は毎日そんな事ばかりを考えていた。
だけど同時に思い出す琉聖の笑顔や愛に辛くなる事も多かった。
私は琉聖と出会って、人を愛するという事を知った。
琉聖を愛して、私は素直になれた。
人を愛する喜びと愛される喜びを知った。
人の温かさを知った。
そして何より私の中に愛する人との新しい命が宿った事が嬉しくて、幸せだった。
琉聖と私が付き合ってからまだ一年も経っていないけれど、私達にはたくさんの思い出があり過ぎるんだ。
これから先、琉聖がいない人生なんて私には辛過ぎるけど、琉聖との愛の証があるから きっと私は頑張って生きていける気がするんだ……。