◇◆あじさい◆◇
『…よかったなぁ!お前っ!』


とっつぁんが私の頭をクシャクシャ撫でて言った。


『ずっとぉ、好きだったんだろっ?裕介の事っ!なぁ、やったじゃん!!』


私は、彼のクチから出た言葉に、涙で滲むとっつぁんの顔を見上げた。


『ばぁ〜かっ!んなもん、ずっと気付いてたさぁ!』


【どうしてそんな事言うの?】



私の心の中で、そんな思いが強くなった。




『…いぃんだ風花。
お前の気持ちがどうであれ、いつか言わなきゃって思ってただけだから。俺はいぃんだ。お前は、自分の気持ちに素直にいればいぃ。』



そう言って裕介は立ち上がると、部屋を出て行った。



『…私達も帰ろう和也?』

『…あぁ…。』



『…何だよお前らっ!?
ちょと待てって!』



『…とっつぁん。』


和也が真剣な顔をして言った。


『…なにっ!?』





『…お前も、
話あんじゃね〜のか?

風花に…。もう、いいだろっ?』



『………。』




沙織は何も言わず部屋を出た。和也もすぐに出て行った。
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