◇◆あじさい◆◇
私が不思議そうにとっつぁんを見つめると、とっつぁんは笑った。


『可笑しいよなぁ〜?あの裕介だぜっ?まさか皆の前で告るなんて予想もできなかったなぁ。あ〜あ〜!!明日雪でも降るぜぇ〜!』


とっつぁんはベットに体を沈め、私からは彼の表情が見えなくなった。



『…何か言えよ…?』



『…えっ?
何かって言われても…。アタシ…。何をどう言えばいいのか分かんないよ…。』


『なんかあんだろ〜よ!
嬉しかった〜!とかなんかよぉ!』



どう答えていいのか分からなかった。自分でも、嬉しかったのか、なんなのか、突然の事で頭が真っ白になっていた。



『…嬉しいって言うかぁ、そのっ、嬉しいけど…、なんて言うかぁ…。あのねっ、』

『だったらそれでいいじゃん!!お前がっ?嬉しいんならっ、俺だって嬉しいしっ、裕介とだったら…?何の心配もねぇ〜じゃん。


付き合えよ?裕介と。』




私の言葉に被せられた彼の言葉が痛かった…。


まるで、私の胸に突き刺さったかの様に、それ以上…私のクチは動く事はなかった。
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