◇◆あじさい◆◇
『…そっか!
とっつぁん何気に人気もんだからねっ。行こっ!裕介待ってる。』


私は、わざと明るく振る舞った。沙織の顔は見ない様に、一人体育館へと歩き出した。


『…風花っ。』


沙織の呼び止めにも答えず、ただ前を見て歩くだけで精一杯だった。


それは、今まで感じた事のない感情で、悲しみなのか何なのか分からないでいた。



体育館に入ると、観覧席のいつもの場所に裕介を見つけた。



『ゆ〜すけぇ〜!』


私は、大声で裕介の名前を叫び、笑顔で手を振ると階段を駆け上がった。



どうしようもない感情を堪えてのハイテンションだ。
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