◇◆あじさい◆◇
慌てて駆け寄り、彼を揺すると、頭からたくさんの血が流れており、足が普通ではない方へと向いているのが分かった。



『…とっつぁん…!


とっつぁあんっ!


だっ、

誰かぁっ!誰か助けてぇ!』




私は、助けを呼ぼうとするが、声が思う様に出せなかった。大声が出せず、慌ててケータイのボタンを押すが、指が震えて119の3ケタが上手く押せなかった。


『…だれかぁ…!』


自分の声がかすれていくのが分かった。

【…これじゃ救急車を呼べない…】


私は震える体を起こし、近くの家のインターホンを鳴らし、玄関を叩いた。



慌てて玄関を開けたおじさんに、状況を伝えたくても声が出ない。


私は、驚くおじさんの腕を掴み、強引に引っ張り彼の元へと連れて行った。



おじさんは、急いで救急車を呼んでくれた。

その家のおばさんが、とっつぁんママを呼びに行ってくれた。
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