◇◆あじさい◆◇
とっつぁんがタバコを買いに出てから10分程経っただろうか…。



『遅いねぇ?』


『アタシ、ちょっと見てきます。』



私は外に出ると、歩いて5分もかからない自販機に向かった。


けれど、辺りを見渡しても、とっつぁんの姿が見当たらず、彼のケータイを鳴らした。


【どこまで買いに行ったんだろう…】


そう思った瞬間、

聞き覚えのある着信音が聞こえた。


【えっ!?】


それは、間違いなく、とっつぁんのケータイの着信音だった。



【どこっ!?】



私は、その音の鳴る方へ足を向け目を凝らした。





その時、

私の目に飛び込んだのは、真っ暗な道の上に横たわる彼の姿だった。




『…とっつぁんっ!』
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